進撃の巨人 9巻

【進撃の巨人】9巻ネタバレ・あらすじ

第35話 | 第36話 | 第37話 | 第38話

 

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第35話「獣の巨人」

あらすじ

『人は戦うことをやめた時、初めて敗北する
戦い続ける限りはまだ負けてない』

 

「本当です! 確かに足音が!」
訝る104期の仲間達に向かって、サシャは両手を上げて訴える。地鳴りのような足音が、確かに近付いて来ていると。

 

「全員いるか?」
更に言い募ろうとしたサシャの機先を制したのはナナバだった。
立体機動装置により、窓の外から直接室内に飛び込んできたナナバは、戸惑う104期兵達に声をかける。
「500m南方より巨人が多数接近。こっちに向かって歩いてきている。君達に戦闘服を着せているヒマは無い。直ちに馬に乗り…付近の民家や集落を走り回って避難させなさい。いいね?」

 

巨人が現れた。
ナナバの言葉に、104期兵達は一様に絶句する。自分たちの身が危険だというだけではない。内地であるはずのこの場所に巨人が来た。それはつまり、巨人がウォール・ローゼを突破したということに他ならないのだから。

 

「南方…から?」
「…あ…」
「壁が…壊されたってことなのか…?」
それはあまりにも重大な非常事態。
未だ戸惑うサシャやコニー達に、ナナバは声をあげて尻を叩く。
「残念だけど、仕事が終わるまで昼飯はお預けだ! さぁ! 動いて!! ぼけっとしてられるのも生きてる間だけだよ!!」

 

上官の叱咤に、104期兵達は一斉に走り出す。

 

ネタバレ感想

第三十五話「獣の巨人」。
ここに来て、事態は更に悪化の一途を辿ります。
巨人達の集団がウォール・ローゼを破壊したことが事実であれば、最早人類に為す術はありません。例えエレンが巨人化したとしても、また都合のいい大きさの岩が近くに転がっていない限り、穴を塞ぐことは難しいでしょう。

 

「私達は…超大型巨人の正体も鎧の巨人の正体も…もしくはそれ以外の敵勢力を見つけ出すことにも失敗し…この日を迎えた。私達…人類は負けた…」

 

104期兵達の前では古参兵らしく気丈に振舞っていたナナバですら、一時はこのように絶望しました。
事態は深刻です。今日、人類が終わったと言える程に。

 

それでも調査兵団は戦いを諦めません。
ミケ分隊長の指示の下、104期兵達を中心とした兵士達は東西南北の四班に別れた上で、周辺住民たちへの避難勧告、及び敵情視察に出発。奇行種らしき巨人集団から逃げる時間を稼ぐために、ただ一人ミケ分隊長のみがその場に残りました。

 

ミケ一人に対し、巨人は九体。
特にそのうちの一体、獣のような毛皮を纏った巨人に対してミケは奇妙な違和感を感じますが…。

 

35話のハイライト

「南に俺の村があります…巨人が…来た方向に……」
「近くの村を案内できます。その後…俺の村に行かせて下さい。そりゃ…もう行ったところでもう…無駄でしょうけど…」
「…けど、行かなきゃいけないんです…」

 

馬鹿キャラ、ギャグキャラとしての振る舞いが板についていた、104期兵のクリクリ坊主ことコニーくんのシリアスシーン。それだけに、彼の悲痛な眼差しには胸が痛みます。願わくば、彼が再び元のような笑顔の似合うキャラに戻れますように…。

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第36話「ただいま」

あらすじ

『サシャにはサシャの世界があるんだから
今だってありのままのサシャの言葉でしょ?
私はそれが好きだよ!』

 

南区で巨人を発見した調査兵団は、直ちに四騎の伝令を主要城壁都市へと送る。
エルミハ区、ヤルケル区、クロルバ区、そしてトロスト区。
いずれも南区の巨人から真っ先に襲撃を受ける可能性のある地域であり、その伝令は急務であった。何としても巨人に先んじて情報を伝えるべく、選ばれた伝令は愛馬を責め、駆けに駆け続ける。

 

「巨人だ!! 南西より巨人が現れた!! 直ちに避難せよ!!」

 

巨人発見より八時間後。
エルミハ区に辿り着いた伝令の、第一声がそれであった。
市民たちは、その言葉に呆然とする。
寝耳の水なのは一般の市民達だけではない。駐屯団の兵士達にとってすら、伝令の伝える内容はあまりにも衝撃的であり、はいそうかと容易く頷けるものではない。

 

「そ…そんな!! 壁が突破されたのかよ!?」
差し出された水を瓶ごとラッパ飲みする伝令に、兵士達は尋ねる。
答える伝令の声は暗い。
「確認はしていない…見たのは10体ほどの巨人の集団だけだ。だがつまり…そういうことだ。もう…始まっちまったんだよ」

 

始まっちまった。
壁の崩壊が。巨人の進行が。人類の敗北が。
その言葉の意味を噛みしめるよりも前に、伝令は瓶を置き、またふらつきながら立ち上がる。

 

「オイ!? もう行くのか!?」
「どこに!?」
「団長に…エルヴィン団長に知らせなければ…」

 

ネタバレ感想

調査兵団No.2のミケ分隊長の非業の死と、言葉を喋る獣の巨人。
明らかに通常の巨人とは違う、またエレンやアニら、人の変化した巨人とも俄に同じとは言いがたい奇異な巨人。これは一体どのような謎を指し示しているのか。これから先、人類の辿る運命は?

 

というわけで、第三十六話「ただいま」。
なんと、今回はほぼ全面にわたってサシャ回です。巨人襲来を報知し、住民の避難を促す役目を帯びたサシャら北班の兵士達は、遂にサシャの生まれ故郷へと辿り着きました。

 

「わかった…この村は俺に任せろ!! ここで最後か?」
「いえ…奥の森に私の村があります…」

 

馬を駆り、上官に答えつつも、甦るサシャの記憶は…。

 

…はい、ぶっちゃけ黒歴史ですね。
まだまだギャグキャラだと思っていたサシャですが、回想シーン内における三年前のサシャは、ギャグキャラ以前に獣です。動物です。利己的で、保守的。今のような言葉遣いでもなく、方言丸出し。この彼女の姿に、読者の脳裏には等しくあの「芋女」の記憶が蘇ることでしょう。

 

巨人に追われ、移住してきたよそ者。
森の中で暮らしていたサシャ達家族も否応なく生活の変革を求められる。慣れない文化、風習。意を決して入った訓練兵団でも、故郷の言葉遣いがコンプレックスとなってサシャを苦しめた。
そんな彼女が、三年間の訓練で何を得たのか。どのように成長したのか。

 

巨人の襲来を知らせに村に入ったサシャは、そこで一体の巨人を発見します。
逃げ遅れた村の子供の手を引き、立体機動装置もなく、弓矢一つで巨人と立ち向かうサシャ。彼女は自ら得た「三年間」の全てを矢に込め、巨人と対決します。

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第37話「南西へ」

あらすじ

『クリスタ…安心してくれよ
私がここにいるのはすべて自分のためなんだ』

 

夜。巨人発見から十六時間後。
エレンを中心とした調査兵団の一隊が、闇の中をエルミハ区へと進んでいた。
松明を手に先導する騎馬と、その後に従う荷馬車の列。

 

「我々に…何か…手が残されているのでしょうか…」

 

荷馬車に揺られながら、アルミンが呟く。
正直な気持ちだった。
ウォール・ローゼがもし破壊されていたのなら、例えエレンを現場へ向かわせたとしても出来る事は何もない。そういつも、都合のいい大きさの岩が近くに転がっているわけではないのだから。

 

「…それに…なぜ…ウォール教の司祭まで一緒に」

 

アルミンはそう言って、当惑げな視線を向かいに座った男に向ける。
エレン達を乗せた荷馬車に同乗している男。その男がウォール教の司祭であることは知っていたが、それがなぜ調査兵団の軍事行動に参加しているのだろう?
押し黙ったままの男の代わりに、男の隣に座るハンジが質問に答える。

 

「彼は壁の中に巨人がいることを知っていた。でもそれを今までずっと黙っていた。なぜかは知らないが、自分が死んでもその他の秘密を言えないというのは本当らしい…」

 

男は、ハンジのその言葉を黙ったまま聞いていた。
無表情、というわけではない。
汗を流し、苦悩の表情を浮かべたまま、まるで何かに耐えるように口を固く引き結ぶ。
そんな男に視線を向けながら、ハンジはこう言葉を続ける。

 

「彼ら教団は何かしら壁の秘密を知っている」

 

ネタバレ感想

巨人襲来の一報は、壁内の人類社会に激震をもたらしました。
兵士達が尚も情報の拡散、伝達に走り回っている間にも、主要な城壁都市では既に大規模な避難活動が開始されています。夜間、暗い街路を埋め尽くす着の身着の儘の住民たち。誰もが押し黙り、声を上げているのは泣いている子供たちばかり。
その光景にショックを隠しきれないニック司祭に対し、リヴァイは言います。
「教会の中でやってた妄想と少し違ったか? あれがお前らが切り捨てようとしてる顔だ…。住処を失った人の表情がよく拝めるな…」と。

 

この辺りのくだりは、単なる腕自慢の無頼漢というだけではない、リヴァイ兵士長の真骨頂ですね。表情にこそ出しませんが、部下、そして人類そのものの生命に対し責任感を持ち、それ故に教会側の情報隠匿に最も怒っているのは、もしかしたら彼なのかもしれません。

 

教会の隠す謎の正体。
人類絶滅と引き換えにしてでも守らなければいけない理由。
そしてニック司祭の明かした、その謎を知るものの名前とは?

 

シーンはここでエレンたちから、ユミル、クリスタ、ライナーら、もう一つの104期グループへと切り替わります。
立体機動装置もないまま危険地帯を馬で駆け続けるユミル達。彼女たちは、果たしてこの状況を生き延びることは出来るのでしょうか…。

 

37話のハイライト

「できそうかどうかじゃねぇだろ…」
「やれ…、やるしかねぇだろ。こんな状況だ…兵団もそれに死力を尽くす以外にやることはねぇはずだ
必ず成功させろ」

 

アニと同様の肉体石化スキルを用いることで「壁の穴を、エレンの巨人化した体そのもので塞ぐ」というアイデアが出された時に、リヴァイがエレンに告げた台詞がこれです。

 

一見、何の裏付けもない滅茶苦茶な精神論のようですが、実は極めて合理的。
やらなかったら人類は絶滅するし、他にとれる方法は全くないんだから、とにかく今やれることをやれ。作戦の成功率なんか関係ない。リヴァイの言ってることは、つまりそういうことなのです。

 

しかしなんですね、トロスト区奪還作戦の時もそうでしたが、人類どんだけ細い綱渡りしてるんだよ、と。毎度毎度、ギリギリですね、本当に。

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第38話「ウトガルド城」

あらすじ

『…何だこの文字は? 俺には読めない。
「にしん」…って書いてあるのか…?
お前…よく…この文字が読めたな…ユミル』

 

コニーが、家の前で泣いていた。
彼の家にいるのは、何処から来たとも知れぬ奇妙な巨人が一体だけ。異常に細い手足を持つその巨人は、身動きもできぬまま、ただじっと横たわっているだけだった。

 

「コニー! 生存者はいたか!?」
「…いない」
ライナーの声に、コニーは小さく呟く。
「いねぇよ…もうおしまいだ…どこにも…ねぇんだよ。俺の故郷はもうどこにも…なくなっちまった…」

 

言葉少なに、ハラハラと涙を流し続けるコニーに対して、ライナーは掛けるべき言葉が見つからない。
歯を食いしばり、ただコニーの肩に黙って手を置くのが精一杯。コニーとライナー、二人のその様子を、ベルトルトは複雑な表情で見守っている。

 

…しかし、妙な状況であった。
勿論集落一つが破壊されたのだ、普段通りであるはずがない。それでも、この村の状況はおかしい。
最初にそれを口にしたのはゲルガーだった。

 

「誰か…死体を見たか?」
彼の言葉に、コニーたちは一様に首を振る。
「…いいえ」
「見てません」
「そんなことがあるのか? 巨人が一滴の血も残さずに集落を壊滅させるなんてことが…」

 

巨人との戦いに慣れた調査兵団の兵士から見て、この村はおかしな事ばかり。
自力では移動できない巨人。
執拗に破壊された空き家の数々。
血の一滴も残さず消えた村人。それなのに、馬小屋には馬が繋がれたまま。

 

これらの状況が一体何を指し示しているのか。それを突き止めるには、彼らに残された時間はあまりにも少ない。

 

ネタバレ感想

ニック司祭はある人物だけが、その謎を口外する権利を持っていると口にします。
その人物の名はクリスタ・レンズ。そう、104期の女神クリスタその人なのです!

 

というわけで、第三十八話「ウトガルド城」。
巨人発見の報に、各地の兵士達は素早く立ち上がり、行動を開始します。
エルミハ区へ向かったエレン達。コニー、ライナー、クリスタら104期兵を中心とした調査兵団の一隊は周囲の村落を回ります。
勿論、活動しているのは調査兵団だけではありません。駐屯兵団の兵士達も、バリケードと大砲で築いた防衛ラインで巨人を迎え撃ち、ウォール・ローゼにある筈の破壊箇所の探索に全力を傾けています。

 

そして巨人発見の報告がなされてから約一日。
最前線で任務に励む兵士達は、各地で奇妙な手応えのなさを感じつつありました。
巨人がいないわけではありませんが、巨人の襲来は散発的で、数も少なく、何より壁にあるはずの破損箇所が見つかりません。

 

闇夜を押して壁沿いに走り続ける調査兵団の一隊は、破損箇所を見つけることが出来ないまま、その日の内の調査続行を断念。たまたま近くにあった古城跡にその日の宿をとることに決めました。
塔のそびえるその古い城跡の名前は、ウトガルド城跡…。

 

38話のハイライト

「何だよライナー…夜這いか?
驚いたな…女の方に興味があるようには見えなかったんだが……」
「あぁ…お前も男の方に興味があるようには見えんな」

 

大人なようで大人でない。サラリと互いの性癖をネタに、ガチンコで殴り合うライナーとユミルの会話より。
こういうユーモアは、個人的には大好物です。もっとやって欲しい!

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