【進撃の巨人】8巻ネタバレ・あらすじ
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第31話「微笑み」
あらすじ
『だから…
アニがこの話に乗ってくれなかったら……
アニは僕にとって悪い人になるね…』
ストヘス区憲兵団支部。
廊下に一列に並び、上官が来るのを待つ新兵達。
その隊列に、後から加わるアニ。遅刻だ。
「やっと起きた…。あんたのさぁ…寝顔が怖くて起こせなかったんだ。ごめんねー、アニ」
「お前は最近弛みすぎだぞ」
同僚の揶揄するような言葉にも、アニは何の反応を返すこともない。
眠そうな目をして、黙って列に並ぶ。
「なにー? もー怒ってんの? ねー」
「愛想のないヤツだな」
「ほっといてやれよ。アニはあのトロスト区から来たんだぞ。この支部でも唯一の実戦経験者だ。まだ癒えるわけないだろ、地獄を見てきたばかりなのに」
黙ったまま言い返すこともなく、集団からハグレがちのアニはいいからかいの対象だ。
廊下に並びながら、他愛のない話を交わし合う新兵達。
「よせお前ら。来たぞ」
近付いて来る僅かな足音に、新兵達はおしゃべりを止め、右手を左胸に当てて敬礼の姿勢をとる。
いつもならこのような集合が掛けられることはない。きっと、今日はなにか特別な仕事があるのだろう…。
ネタバレ感想
第三十一話「微笑み」。
まずは貴重な、髪を下ろしたアニの寝起きシーンからの始まりです。アニファンの方、写真を撮るなら今のうちですよ!
さて、今回のお話の前半では、アニを含む憲兵団の日常風景を垣間見る事ができます。
これまで典型的な「嫌なお役人」としてしか登場してこなかった憲兵団ですが、果たしてその仕事ぶりは如何なものかといいますと……
これがまた絵に描いたような堕落っぷりで、ある意味期待を裏切らない憲兵団。
上官は酒と賭博に溺れ、仕事は入って一月足らずの新兵にサクッと丸投げ。楽をしたい、安全な場所で暮らしたいという安逸な野望に燃えて憲兵団に入団した新兵ですが、上官たちの輪をかけた露骨なクズっぷりには流石にドン引き。
呆れるヒッチ。逆に、新人らしい理想論に燃えるマルロ。
綱紀粛正を主張するマルロに対し、けれどアニは言いました。
「あんたみたいな「良い人」が体制を占めちまったら、それこそおしまいだと思うけどね…」
クズであり、空気に流される意思の弱い人間。
マルロが糾弾するそんな「悪い人間」を、アニは「普通の人間」と呼びます。状況に流される弱い人間でも、普通の人間だと思われたい、と。もしかしたらそこに、アニが『これまでに行ってきた行動』の理由が隠されているのかもしれません。
後半、アルミンの登場によって物語は風雲急を告げることになります。
王都に召喚されるエレンを逃がすための脱走計画と、その誘い。王都に行けばエレンは殺される、憲兵であるアニの力が必要だと訴えるアルミンに対して、アニは果たして―。
31話のハイライト
「ありゃあそう長くはもたねぇよ…。アイツとオレ、全然似てねぇから…」
「大丈夫だって…! 2人は体型が近いし目つきが凶悪で似たような悪人面だから」
ジャンを替え玉に、こっそり護送車から抜け出すアルミンとエレンの会話より。
こういう肺腑を抉るような言葉がさらりと出てしまう辺り、実はアルミンって凄く腹黒い気もします。
第32話「慈悲」
あらすじ
『まだアニと戦うことを…躊躇してるんじゃないの?』
女型の巨人。
そう告げたミカサの言葉を、アニは否定しなかった。
アニは本当に女型の巨人なのか?
迷っている暇はない。アニの不審な挙動に、アルミンは咄嗟に空へ信号弾を放つ。
破裂音が響くと同時に、周囲の物陰に潜んでいた調査兵団の兵士達が一斉に姿を表し、駆け出す。街中で目立たぬよう、私服を着た兵士達が地下道の入口に立っていたアニに殺到。手足を抑え、自傷行為を防ぐための猿轡で締め上げる。
エレンはまだアニのことを信じていた。
アルミンも気が付かない。
だから、その次にアニがやったことに気が付いたのはミカサ一人だけだった。
猿轡を噛まされたアニが、指輪に仕込まれた小さな刺のような刃物に親指を引っ掛ける。
それを見た瞬間、ミカサはエレン、アルミンの襟を掴んで地下へと走り出す。
「ミカサ!?」
「一歩…!! 遅かった…」
指輪のトゲが、アニの指に傷をつけた。彼女を拘束していた兵士達も気が付かないほどの小さな傷。けれど、それで十分。アニが巨人になるには、その小さな傷一つで十分なのだ。
巨大な光と、爆圧。
大質量が虚空に生まれた衝撃に、アニを押さえていた兵士達が弾け飛ぶ。
巨人が。
女型の巨人が生まれたのだ。
ネタバレ感想
遂に女型の巨人の正体が判明しました!
調査兵団の兵士達を殺し、リヴァイ班の兵士達を殺し、巨人化エレンを打倒し、あと一歩で人類そのものに対する勝利を収めるところであった化け物。女型の巨人。
その正体はエレン達の同期、アニ・レオンハートだったのです!!
第三十二話「慈悲」。戦いはまだまだ終わりません!
…というわけで、アニ=女型の巨人です。
ネタバレ無しで、事前に女型の巨人の正体を判った人はどれくらいいたでしょうか?
勿論、なんとなく予想は付きました。何より、エレンの身の回りにいて、喧嘩上手なエレンを格闘で圧倒できる「女子」なんて、ミカサとアニの二人だけですからね!
「女型の巨人はエレンの顔を知ってるばかりか、同期でしか知りえないエレンのあだ名「死に急ぎ野郎」に反応を見せた。何より大きいのは2体の巨人を殺したと思われるのがアニだからだ…」
今回、アルミンはアニを女型の巨人だと特定した理由として、上記の理由を挙げました。
また、ミカサはこうも言いました。
「アニと聞いた今、思い当たることはないの? 女型の巨人と格闘戦を交えたのなら、アニ独特の技術を目にしたりはしなかったの?」と。
第二十九話において、巨人化エレンの首を一撃のもとに刈り落とした、あの技の正体はハイキックでした。
そしてエレンも、本当はあの瞬間に気が付いていたのです。
同期の仲間の中でもただ一人、異質な格闘術に秀でた彼女が女型の巨人の正体であることに。
迷いを振り払ったエレンは、アニ……女型の巨人との最後の戦いに挑みます。
32話のハイライト
「まだアニと戦うことを…躊躇してるんじゃないの?」
「まさかこの期に及んで…アニが女型の巨人なのは気のせいかもしれないなんて思ってるの? あなたはさっき目の前で何を見たの?」
「あなたの班員を殺したのはあの女でしょ? まだ違うと思うの?」
一言一言言うたびにエレンとの距離が近くなり、顔の傾きがひどくなるミカサ。
近い、近いよ! ヤンデレを通り越して、殆ど悪霊か何かです。
エレンと他の女子とのフラグは、どんな小さなものでも根から完全粉砕。それがミカサ!
第33話「壁」
あらすじ
『この世のすべてからお前が恨まれることになって…父さんだけはお前の味方だ
…だから約束してくれ
帰ってくるって…』
重い破裂音の後に、空へと立ち上る大量の煙。
煙の出処は街並みに隠れて視認できない。
「何だ…!?」
その煙を目にして、憲兵団師団長ナイルは困惑した声を上げる。
何かはわからない。…が、異常事態であることだけは明白だった。慌てて周囲の憲兵団兵士達に指示を飛ばし、現場の状況確認に走らせる。
「ナイル…すぐに全兵を派兵しろ。巨人が出現したと考えるべきだ」
「な…何を言ってる! ここはウォール・シーナだぞ!! 巨人なんかが現れるわけない!」
傍らのエルヴィンの言葉を、ナイルは反射的に否定する。ストヘス区は三重に囲まれた城壁の最も内側。ウォール・ローゼが破られる前に、ここに巨人が現れるなどあり得ないことのはずだ。少なくとも、常識では。
ナイルの強い否定に、エルヴィンは黙ったまま視線を返す。そんなエルヴィンの様子に、ナイルは不穏なものを感じる。ナイルは言った。
「…エルヴィン。お前…一体…何をしている…?」
直感。
エルヴィンは、調査兵団は何かを知っている。憲兵団に、王政に対して何かを隠している。
ナイルのその言葉に、エルヴィンは黙して語らない。
ネタバレ感想
アニ、女型の巨人との戦いを決意したエレンは遂に巨人化。
立ち上がり際の右アッパーが女型の巨人の顎を粉砕し、その巨体を高々と宙に跳ね上げる……
第三十三話「壁」です。
長かった女型の巨人との死闘も、今回が正真正銘最後の戦い。
長いと感じるのも当たり前で、振り返ってみれば、女型の巨人が初めて登場した第二十二話以降、連載期間で考えればほぼまる一年近く、女型の巨人は出突っ張りだったんですよね。
状況は女型の巨人がやや不利。
なんといってもここは壁の中であり、兵士の数も多く、立体機動に必要な建物にも事欠きません。何より今回は兵士と巨人化エレンが共闘できる点が大きいでしょう。
一方の「アニ=女型の巨人」は、これ以上後がない状態です。例えこの場から逃れることが出来たとしても、人としての正体が知られた以上、今後壁の中で生きていくのは不可能でしょう。
エレンはアニに心の中で問いかけます。
(なぁ…アニ。お前……何のために戦ってんだ
どんな大義があって人を殺せた)
ここに至って、アニも出し惜しみはしません。
彼女の必殺技である硬質化させた足によるキックは、巨人化エレンの足を一撃で切断させるほどに強力です。一方のエレンも、以前のような怒りに任せての力任せの攻撃は鳴りを潜め、あくまで冷静にアニとの戦いに挑みます。
激しく戦い合うエレンとアニ。
二人の戦いは、やがて壁の中に眠る一つの謎を呼び覚ますことに…。
33話のハイライト
「アニ」
「落ちて」
壁を登ろうとした女型の巨人を、ミカサはそう言って大地に蹴り落としました。
エレンとフラグを立てようとした者は皆殺し。
ミカサのヤンデレ無敵伝説はまだ始まったばかりです…!
第34話「戦士は踊る」
あらすじ
『あぁ… いつのまにか忘れてたよ…
こんなの…初めて壁の外に出た時以来の感覚だ…
怖いなぁ…』
誰かが、自分の体を引き摺っている感覚。
どうやら気絶していたらしい。エレンが目を開けると、動かない彼の体を何とか安全な場所へ運ぼうと苦闘するアルミンと目があう。
「…アルミン。アニは…どう…なった…?」
「エレン…」
尋ねるエレン。
女型の巨人を取り押さえ、そのうなじからアニの本体が取り出された事までは覚えている。
その後、突然アニの体から光と蒸気が噴き出してきて―。
「多分今は…誰にもわからない…」
視線を前に向けながら、アルミンはそれだけを答える。
二人の眼前には、激しく蒸気を吹き上げる小山のような巨人の躯がうずくまっていた。
そして何か透明な、鉱石のような大きな塊に剣を振り下ろす兵士達。吹き上げる蒸気の音に、カーンカーンと、槌音のような響きが交じり合う。
エレンはその耳慣れぬ音を、ぼんやりと聞き入っていた。
ネタバレ感想
女型の巨人墜つ!
激闘の末、遂に女型の巨人は調査兵団の手に落ちました。
…しかし、これが人類の勝利だ、と浮かれる者は一人もいません。女型の巨人=アニは、調査兵団によって拘束される寸前、自らの身体を水晶のような透明の鉱石で包みました。鉄のような硬さの水晶の中で眠るアニ。調査兵団の兵士が全力で刀を振り下ろしても、水晶には傷一つ付きません。
「この卑怯者がぁ!! てめぇ! どうしてくれんだ。出てこい!! 出てきてこの落とし前をつけろ!!」
折れた刀を叩きつけ、兵士達は激高します。
そんな部下達を抑えつつも、流石のハンジですら内心の懊悩を隠すことは出来ません。
(もし…このままアニから何の情報も引き出せなかったら何が残る…? 多くの死者を出し、その人生を失い…謎ばかりを残して…それで何が…?)
答えの出ない悩み。
その上、彼女たちには悩む時間すら与えられません。
ハンジは、ミンサは、そして他の兵士達も見てしまったのです。
女型の巨人が壊した箇所から剥落する、壁の破片。その破片の奥、壁の中に超大型の巨人が眠っているのを……
ぎゃー! 怖い!
この、一難去った後にすかさず二難三難と畳み掛けるストーリー運びはまさに進撃流。
意外なところから、文字通りに露呈した「世界の謎」の一旦。
ハンジの予感通り、壁の中には巨人がぎっしり詰まっているのでしょうか?
そしてウォール教の司祭は、一体何を知っているのか?
これだけでも驚天動地の騒ぎを引き起こすには十分なイベントですが、それだけではありません。
更なる危機が、再び人類を襲います…!
34話のハイライト
「少なくとも100年間ずっと立ちっぱなしだったから…
そろそろ散歩でもし出すと思うな…一斉に」
「…ハハ。ハハハハ!
アルミン、お前今冗談言ったのか!? つまんねぇよお前! 最高だな!」
戦闘後、眠るエレンの傍らで会話するアルミンとジャン。
仲睦まじい二人の姿。萌えますね。今風に言えば、薄い本が捗る展開ですよ。まあ、どんな今風かについては、明言しないでおきますが!